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トゥールーズ連続射殺事件


 フランス中を震撼させた 

Toulouse Montauban の連続射殺事件

から一週間以上経ち、


事件の詳細はこちら トゥールズ連続射殺事件



異常に過熱した報道も一段落して、事件に関する落ち着いた意見も出てきたのと



自分の中でも考える事がちょっとまとまってきたのでこの事件に関して書きたいと思います。





私がちょっと驚いたのは私の周りのフランス人がおしなべて


”(犯人の)モハメド・メラーは銃殺されて当然。”

とか


”生きて逮捕されなくて良かった。”


というような事を口にした事だ。




今回の銃撃事件の被害者のうち3人がまだ幼い子供で、その手口が


幼い子供の髪をひっぱり自分の方に引き寄せてから頭に銃口を向けて撃つという


その残忍さゆえだと思うのだだけれども、


得てしてモハメド・メラーが殺された事に肯定的な意見ばかりを聞いた。





またフランスの刑法では犯人の年齢(24歳)で7人の人間を殺傷しても最大でも


懲役は30年で、現在のシステムからいえば20年から25年後には刑務所を出る事に


なる。というのは多くの人が知っていることなので



それ故に生きて逮捕されても遺族が浮かばれない。



というようなそんな背景から その場で射殺された事を肯定する意見が多いのかもしれない。






それでも私はやっぱり後味の悪さを感じる。



24歳の若者が罪のない子供や無抵抗の人を殺傷して、そして自分自身も特殊部隊に



包囲された挙句に文字どおりに”蜂の巣”状態で殺されるなんて、
(モハメド・メラーの死体の上半身には20箇所もの銃痕があったらしい)




やはり悲劇というか、あまりに悲惨な出来事だと思う。





フランスの社会の事を知っている人なら



このモハメド・メラーのような男の子のバックグランドが容易に想像がつくと思う。





アフリカ大陸からの移民の2世、もしくは3世で、



学業をちゃんと終えていなくて、軽犯罪の前科があり、定職にもついていない



フランスでシテと呼ばれる 低所得者向けの高層アパートで生まれ育った若者。






非常に分かりやすいプロフィールだ。




3月30日付けの ”Le monde"の 討論のページに面白い記事が載っていた。



Dounia Bouzarという依存症専門の心理学者の意見だ。





 モハメド・メラーを取り巻く背景は”イスラム原理主義”に傾倒する若者に特徴的な背景、全てを揃えている。

父親不在の家庭で育ち、将来への目的もなく、文化的継承を受けておらず、家庭には
宗教的下地はむしろ皆無で、フランス社会との接点も少ない。


大抵の場合彼らの母親は”うちの息子は何も変わった所なんてないのに・・”といい、
彼らの息子がイスラム原理主義グループのメンバーだった事も知らず、それを知ったところで
”どうやって息子を全うな道に連れ戻すのかも全くわからない”と言う。


イスラム原理主義に傾く若者は主に精神的に脆弱な若者を狙って洗脳を施そうとするイスラム
原理主義の説教師達の犠牲者であると言える。
 





というと、まるでモハメド・メラーの責任を否定するかのようだけれども



やはりこの事件の背景にはフランスの移民同化政策と教育システムの失敗が関係していると思う。






現在のフランスの教育システムではモハメド・メラーのような人間は完全に居場所を失い


そして、そして唯一彼らがより所として感じられる場所が”イスラム原理主義”だったんだと

そういう事だと思う。





情報によれば、モハメド・メラーがイスラム原理主義傾き始めたのは刑務所に服役していた時


らしい。



どうやら刑務所で説教者に会い ”洗脳 ”されたらしい。




情報によるとこの10年間(9・11以降という事になる)、フランスの警察は



かなりの人数の ”イスラム教急進派”もしくは”ジハディスト”と呼ばれる人達を



逮捕、服役させており、






皮肉な事に彼らにとっては刑務所の中が前に述べたような典型的な若者との出会いの場であり、




そしてもってこいの ”洗脳”の場であるらしいのだ。






そして父親を知らず、学校からも落ちこぼれ”道徳”や ”宗教的生活” という物を


知らない若者達にとっては 初めて確固とした価値を教えてくれる人に出会う場所となる。






この心理学者は警告をならす





 ”イスラム教徒” と全ての信者を同一化する傾向をただちにやめるべき。
その種の同一化は結局のところイスラム原理主義者派が行う ”俺ら”と”奴ら”
という単純な差別と結局のところ同じ態度だし、個人という存在を徹底的に否定する事にな
る。




そして



若者に未来と希望を示せるようになる事、共和国としての価値を全てのフランスの子供が
共有出来る事こそが今必要。




と説く。





共和国 ”Republique ”としての価値。  




何かが起こると、フランス人が立ち戻ろうとするのはいつもこの価値だと思う。



何度でも立ち返るべき価値は ”共和国 ”としての価値。




残念ながら現在のフランス共和国は、多くのシテで暮らす若者に何の未来も希望も示させない

でいる。 その問題を解決しない限り、第二・第三のモハメッド・メラーが出てくると思う。




今日もフランスのいくつかの都市で、急進派イスラム教徒やテロを企む容疑のあるイスラム原理主義者が17人逮捕されたんだとか。



これでまた刑務所の中がさぞやにぎやかになるだろう。。。

いい加減、解決策はそこではないと気づけばよいのに。






大統領選挙まで30日をきるタイミングでのこの事件、



被害者には申し訳ないようだけど、結局どの候補者が特をしたのか???


という事に注目がいく。





フランスの守護者としてのアピールに執心したことで現大統領のサルコジに有利に働く


という見方もあるけれども




結局は私は極右政党FNの マリーン・ルペンに最も有利に働いたのではないかと危惧する。


第一回目の投票までついに30日を切りました。。




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パリCDG空港内に設置されたメディテーションエリア。


理屈上は全ての宗教実践者に開かれているけれども、利用者の多くはイスラム教徒だと思う。


金曜日の夜などは次から次へと、旅行客が入っていく。


それでもそこは教会でもなくモスクでももなく祈りのスペースとして全ての信心を持つ人に


開かれているこういう場を公共の場で持っているフランスのその共和国の精神に私は

ひそかに期待しています。



フランス共和国の精神、それは



自由・平等・博愛



平等なんて言葉が空しい社会と異分子に博愛になれない人々と誰かの自由を奪う若者。



こんなままではいかんんだろう、と今回の悲しい事件は示唆しているように思える。
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by melodynelson-2812 | 2012-03-31 07:34 | 時事
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