今回こちらに来てしたかった事の一つは、”探し物”です。
津波と一緒に流されてしまった物の中から”何か”を探す事です。 ”何か”というのは本当に”何か、なんでも良いからそこに自分たちの生活 が存在した事の証となる物”です。 ものすごく変な感覚なのですが、自宅だけでなく周りの様子全てが無くなって みると、自分の記憶の中ではそこに確かに存在していたと確証できても 一方で”本当にここに存在していたのだろうか?”と不安になってしまう 気持ちがあるのです。 うーん、うまく説明できませんが・・。すごく変な感じ です。 震災から2ヶ月経って、あちこちの場所で”思い出館”と称して自衛隊や 地域に住む人達が見つけた写真やランドセル位牌などを展示している場所が でき始めています。 汚れてしまった写真をきれいにして見やすいように展示し てくれているボランティアの方もたくさんいらっしゃるようです。 写真をきれいにして下さっているボランティアの方には本当に頭が下がります。 一日中、前屈みになって写真を液体につけて乾かす作業をされています。 私の両親が住んでいる自治体は、屋内ではなく屋外に置かれているので思い出館 というような体裁は取っていませんが、母と二人で探しに行ってきました。 まずは、ボランティアの方がきれいにしてくれた写真から。 こういう写真が壁一面に貼り出されています。 たくさんの写真がありましたが、私や私の家族の物は見つかりませんでした。 でも、近所に住む同級生の子の立派な家族写真は見つけました。 その子とは小さいころ随分、一緒に遊んだのでその子のご両親、2人のお姉さま そして、何よりその当時の彼女の顔を鮮明に記憶していたので、彼女が多分7, 8歳の頃の写真の彼女の目と目が合った瞬間、”あっ!!”とものすごい速 さで、その写真を手にとっていました。 多分、今彼女と合ったらもしかすると そんなに素早く彼女と認識できないと思います(笑)。 でも、写真を見た瞬間彼女の声や話し方までものすごく鮮明に思い出しました。 家の父が彼女のお父様の連絡先を知っているので、事情を説明して持ち帰る事に しました。ボランティアの方には ”是非、知っている方のは持っていってあげ て下さい”と仰っていただき・・・ 写真を綺麗にすることは、他所の方にお任せして私と母はそれ以降かなりの数の 知人、友人の写真を見つけては知り合いを介して持ち主に戻す。という事をしま した。 いったんきれいにして頂いて、壁に貼ってある写真の他に 拾われてそのままの状態で入れ物に乱雑においてあるアルバムが多数あります。 こんな感じで・・ かなりの数の物がまだ油の混じった海水で濡れていて、砂も大量に入っていて 持ち上げた瞬間に黒い水がだーっと零れ落ちてきたりします。 探すついでに、それを天日干しする為に広げて置いたりしながら一つ一つ手にと 取っていきます。 マスクと手袋は必須なのですが、マスクを通しても油と海水の臭いがすごいで す・・・。 最初は良いのですが、探しても探しても見知らぬ人の写真ばかり・・・が続き 帽子とマスクをかけたままひたすらしゃがんでアルバムや写真の束を繰っている と突然、空しい気持ちになってきます。 家の母が ”見つけられたアルバムが届いているのは知っているけど一人では探 しに行く気がしないな~。まりまんどなが一緒に来るなら行く”と言っていた意 味が分かりました。 不謹慎ですが、 ”あーこの結婚式の写真のお嫁さん綺麗だよー。”とか そういう会話をしながらでないとこの作業、辛すぎます。 私と同年代の男性でお母様を亡くされた方が一人でうつろな表情で写真を探して いましたが、彼の絶望的な目、絶対的な暗さは忘れられません。 この作業は一人でするにはあまりに辛すぎます。 探せど探せどうちの家族の写真は見つからないのですが、知り合いの写真を見つ けると、その人の喜ぶ姿を想像してこちらもやはり嬉しくなり ”あともう少しだけがんばって探そう” という気力が沸いてきます。 これとは別に、位牌や仏具が保管されている場所があるのですが なんと半世紀以上前に幼くしてして亡くなった母の弟の小さな位牌が見つかった のです!!! 小さくて、古びたその位牌が見つかった時は母と思わず歓声を あげました。 母の実家の家も跡形もなく無くなったのにこんな小さな位牌は 見つかるなんてまさに奇跡です。 結局、私の家族の写真もアルバムも何も見つかりませんでした。 実は私は自分の幼い頃のアルバムや卒業アルバム等への執着が薄いというか・・ そもそも記録としての写真には興味がある物の、自分の記録の写真にはあまり 関心がないタイプなので、そんなにも残念でもないのですが母が残念そうなのが 気の毒なので、やっぱり何か見つけたかったのですが・・・。 海のもくずとなったのかな~?? 後日、私が家族写真を見つけた同級生の子のお父様と会いました。 なんと、その後も2枚ほどはじめに見つけた写真の数年後に撮ったと見られる立 派な家族写真が見つかって、それも一緒に手渡すと彼女のお父さんは すごく喜んでいて ”また2枚も出てきたって! 持って帰ったらまた大騒ぎになるなぁ” と笑っていました。彼女と彼女のお姉さんと晩酌して上機嫌のお父上が大騒ぎし ている光景を想像したらこっちも嬉しくなります。 今の所うちのアルバム類は一つも見つかっていませんが、実は私が家のアルバム から無断で持ってきた数枚の小さい頃の写真には小さい頃の従姉妹達や近所の子 が写っています。 それをプリントして、皆で盛り上がる事もできるし、 それに何よりも、これからたくさんたくさん写真を撮って大切にしていく事がで きるんですから。 ということで、記念に自宅跡で両親と姉の写真を撮ってきました!! 今は辛いですが、この写真を先祖代々に語り継がねば!なんて壮大な事を考えて しまいました。
by melodynelson-2812
| 2011-05-21 10:07
|
by melodynelson-2812
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