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神様を探す

 




  私、この年になっても未だにマンガを読むんですけどね、



最近読んだマンガですごく良かったのがこれ


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いがらしみきおの    I ( アイ )    


8月に1巻が出たばかりなのですが・・


あらすじは宮城県の田舎に住む少年二人が神様を探す。

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というなんとも哲学的な話しなのですが、私としては哲学書というよりは



民俗学の書物を読む感覚です。


東北といえば座敷わらし伝説が生まれた場所で、そして今でも普通に


”拝み屋”という職業が認知されている土地柄。


このマンガからはそんな東北な匂いがプンプンと伝わってくる。



いがらしみきおといえば



ぼのぼの  が有名。(マンガ読まない方にはちんぷんかんぷでしょうからwiki参照して下さい・・)


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                      ぼのぼの


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                      シマリス君



この方宮城県出身で今も仙台在住でいらっしゃるのです。



うーん、どうりでこの生臭いまでの東北臭を再現できるはず。





どうしてこのマンガの話しをしたかというと、



ずーっと気になっていたことなのですが



最近、仙台市内にこれを見かける事が多いんです。

             

神様を探す_b0228941_4362810.jpg




はい?? 


罪って何? 


しかも拡声器を使って何やら 終末期的な事を語っている・・



あの、もしや 津波と何か関連付けているわけではないですよね??





想像してみよう、



カトリーナの被害の後のルイジアナの街角で、イスラム教徒や仏教徒が


拡声器を使って ”罪を償え”とか ”地獄に行く” とか説教しだしたら


どんな事がおきるか・・・・。




殴り合いが始るか、警察が来るか 最悪な場合は誰かが拳銃とかライフル持ち出すとか・・





仙台の道行く人は もはやそんな拡声器は存在しないかのように無視し続けていて



無関心というか、ある意味大人の対応をしていて実はそれが一番なんだろう。とは思うけど




でも、あれだけの自然災害で辛い目にあった地域でこういう事をするっていうのは私には



嫌がらせ としか思えない。





それでも、この程度の事ならばなるべく雑音に耳を傾けないようにすれば良いのだけど、






5月にまだ石巻にいた頃 



その日は 水の配給がある日だったので配給所に行って両手に水を持ってえっちらおっちら歩いていると




県外ナンバーの車から数人の白人男性が降りてきた。




そして配給所から帰ってくる人に何かを配ろうとしている。





 ? ? ? ? 





と思っていると一人の男がこちらに近づいて私に差し出したのは





なんか宗教っぽい絵が描かれたDVDと教えが書かれた偽物のコイン。



それを見た瞬間に私の頭まで最高速で血が昇った。





両手が塞がっている私の横の母に無理やりそのDVDを渡そうとしている。




何ジンなのか分らなかったので 否定の意思表示としてチッと舌を鳴らして首を振ると




その男は英語で



” 神の事が話されています ” という。




”知ってますよ。 だから いらないって言ってるんです。”




”どうして???あなた達に今必要な物です”



 ”! ! ! ! ! ” 



怒りでわなわなしながら、立ち止まって彼に向き合った。



”そんな物全然必要ないですよ!!!


あのね、あなたこういう事を今ここでするべきでないと思いますよ。”




相手の男はため息をついて頭を振りながらこちらを見ている。




母に無理やりDVDを渡すと、後ろから来る若い母親と小さい子供に近づいていく。



その背中に ” そういう事するべきじゃないと思いますよ ”と繰り返したけど



完全に無視。



一人でいたのならしつこく追いかけて反対意見をいうところだけれども



怒りで顔が真っ赤な私を母が心配そうに見ているので深追いはしない。



それにそもそも話しが通じる相手でもない。




怒りでワナワナしながら、家にたどり着いて




”そんな物ゴミ箱に捨てて !!!! ” という私に 母が





” でも、そんな事してその神様の罰があたったらどうする?? ”




やっぱり・・・・。



このような大災害にあって人間の非力さを目の当たりにした人にはこの



 という言葉は非常に効果的だ。




それだけに 腹が立つ。 



”あのね、そんな事で罰を与えるような物は神様って言わないんだよ。 ”




といって、母の見ていない時にそのDVDとコインをゴミ箱に放り投げた。



これってある種の暴力だろう !!! としばらく怒りが収まらなかった。





その後、別の場所でボランティアに来ていたアイルランド人の男の子と一緒に作業した時に




私は ” おまえも一味か???? ” と勝手に警戒していたのですが




あとで話してみたら、全く関係なくて 



彼にその日の事を話したら まずは




 ” FU○K !!!! ” 


そして


”津波で家が壊れた人にDVD渡すって何? ばかじゃね?? ”


とごもっとも。





信教に関することは非常にデリケートで個人的な事だから


何が正しくて、何を信じるかなんて他人に押し付けるべきではない。









ただ私は何故か いがらしみきおの I <アイ> 1巻の最後に語られる



誰かが見ることで世界ははじまる。


生き物は見るために生まれてきたのかもしれない。


みんなが見ることによってこの世界は創り上げられているのだろう。


だから誰もみていないところにはなにもない。


誰も見ていないところ。


そこは真っ暗で




神様しかいないのかもしれない。





という言葉に グッと 来る。 




そういえば、もうすぐ 9.11 から10年経つんだな。
by melodynelson-2812 | 2011-09-10 06:43 | 読書
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